やさしい業務フロー図の作り方 | 6つのステップと4つのポイント

業務の一連の流れを図形や矢印で表し、業務内容や担当者、必要な処理などを可視化した「業務フロー図」。 

企業の業務改善や効率化といえば、まずは業務フロー図の作成が思い浮かぶ方、また実際に作成経験がある方も多いのではないかと思いますが、せっかく手間暇をかけて作っても何故か分かりづらかったり、実態に合わず使えなかったりといった問題が起こりがちです。

本記事では、業務フローの基本的な作りかたを知りたい方や、初めて業務フローを作るが何から始めたらよいか分からないという方へ向けて、どのようなステップを踏み、どのようなポイントを押さえて作成するのがよいか、やさしく解説していきます。 

業務フロー図とは、業務の流れを図で表したものです。例えば、コンビニで商品を買うときの流れを考えてみましょう。 
まず商品を選び、レジに持っていきます。 次にレジで値段を確認し、お金を支払います。 最後にレシートと商品をもらい、お店を出ます。これをおおまかに図に起こしてみると以下のようになります。 

このように、ある仕事のステップを図形や矢印で図式化したものを業務フロー図と呼びます。業務フロー図を作ることで、業務の流れがひと目で分かるようになるだけでなく、手順に無駄や問題がないかチェックするのにも役立ちます。 

業務フロー図を作成する目的は企業によって様々ですが、業務の流れや関係を図で表すことで、業務の理解や共有、改善などを促進できるというのは大きな利点です。業務フロー図作成のメリットとしては、主に以下が挙げられます。 

  • 業務の全体像や課題が分かりやすくなる 
  • 業務の効率化や品質向上のための改善策が見つけやすくなる 
  • 業務の標準化や統一化が進めやすくなる 
  • 業務の責任や権限が明確になる 
  • 業務の教育や研修が効果的になる 

業務フロー図は、業務の可視化や共有のツールとして、業務改善や改革の推進に大いに役立つほか、業務の効果や成果を測定し、評価することもできます。また業務の目的や意義を明らかにすることで、仕事のモチベーションや満足度を高めることにも寄与します。 
したがって、業務フロー図を作成することで様々な恩恵を受けることができると言えます。 

それでは実際に業務フローを作成するにあたって、どのような手順で着手していくのがよいでしょうか。
想像でなんとなく作ることはおすすめできません。作成者本人にしか理解できなかったり、実態と異なるものになってしまったりする可能性があるからです。
以下のような大まかなステップに沿って進めることで、効率的かつ分かりやすい、実態に即した形に作成することができます。順番に見ていきましょう。

STEP1 目的を明確にする

最初に目的や論点を明確にすることで、業務フロー図の作成範囲や方向性を決めることができます。目的や論点を明確にするためには、関係者の意見や要望を聞くこと、業務の現状や課題を分析することが有効です。 

STEP2 業務の調査・関係者の洗い出し

目的が決まったら、業務に関係する担当者や部署、クライアントなどの利害関係者を洗い出します。そしてこれらを、スイムレーンと呼ばれる軸に分けて図に配置します。スイムレーンは、業務フロー図の枠組みを作るための重要な要素です。 

STEP3 作図ルールを決める

業務フロー図の記号や線の意味や使い方は統一してください。 ルールを設定することで、業務フロー図の見やすさや分かりやすさを高めることができます。 
ルールを設定する際には、特に以下の点に注意しましょう。 
 
・記号の種類は最低限にする 
・矢印は上から下、または左から右に進むようにする 
・線は重ならないようにする 
・記号と記号の間に一定の間隔をあける 
・正しい記号を使う

ルールを設定することは、業務フロー図作成の前提となる重要なステップです。 ルールを設定することで、業務フロー図の可視化や共有、課題の洗い出し、改善策の検討などがスムーズに進められます。 

STEP4 作図

まずはざっくりとでも良いので全体像を書き出してみて、その後、徐々に細分化していくのが良いでしょう。そのうえで、どの作業を業務フロー図に記載するかを決めていきます。 
タスクや処理を時系列に並べ、各タスクや処理に適切な図形を割り当て、矢印で繋げて業務の流れを表現していきます。

STEP5 レビュー(検証、修正)

作成後に、適切なレビューを行うことで業務の改善や品質向上につながります。フローに誤りや不備、無駄なプロセスがないかを確認し、結果を分析することで問題点や改善点を洗い出し、必要なアクションを明確にします。修正を行った後は、レビュー結果のフィードバックが反映され、問題が残されてないことを再度確認してください。 

STEP6 公開・共有

作成して終わりではなく、完成した業務フローをメンバー間に公開・共有することも忘れてはいけません。 
関係者全員がいつでも閲覧できる場所に格納し、関係者に共有しましょう。 

なお、業務フローのさらに詳細な作り方や、使用する記号などの具体的な作図方法については、無料のダウンロード資料で解説しておりますので、ぜひこちらをダウンロードし参考にしてください。 

業務フロー図の作成時に気を付けたいポイントもご紹介します。この4つのポイントをおさえることで、業務フロー図の完成度がぐっと高まります。 

POINT1 シンプルに 

良い業務フローの最大条件とは、パッと見て内容が分かりやすいということです。 
そのためには、できる限りシンプルに作ることを心がけてください。複雑なフロー、長いフローは1ページにおさめるよう、業務を区切りのいいところで分割して作図しましょう。

POINT2 プロセス(開始・終了・分岐)を明確に 

業務の流れを分かりやすくするために、開始・終了・分岐の条件は明確にしましょう。なにをきっかけとして開始するか、どうなることで終了するか、作業の分岐の発生条件は何かを明記することで、迷いのない業務フロー図になります。 

POINT3 適切な粒度で

 目的や用途に合わせた適切な粒度で作成しましょう。細かすぎても複雑になり、見やすさが損なわれます。逆に粗すぎると抽象的になってしまい、内容や関係性が分かりづらくなります。適切な粒度に統一するには、たとえば担当者や使用する媒体ごとに図形を分ける、一連の入力作業は1つの図形にまとめるなどの工夫が効果的です。 

POINT4 変更管理を徹底 

一度完成した業務フロー図も、プロセスや業務の変更に伴って更新が必要になることがあります。そのため、変更履歴を管理し適宜フロー図を修正・改訂することが大切です。常に最新の情報が反映できていれば、実態に合わず使えないといった問題を防ぐことができます。 

さて、ここまで業務フローの作り方について解説してきましたが、いかがでしたか? 
良い業務フローを作成するには、ご紹介したようなしかるべき手順を踏み、重要ポイントを押さえておくことはもちろん、基礎的なものから自社の業務にあわせた形にカスタマイズする必要があるかと思います。 
 
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