開発標準の重要性と導入方法をやさしく解説┃システム開発を効率化してプロジェクトの成功確率を高めよう

2024年8月7日 2024年8月7日

yamasaki

はじめに

なぜ開発標準が重要なのか

DX（デジタルトランスフォーメーション）を加速する必要性に迫られる現代において、テクノロジーの進化や顧客要求の高度化によってシステム開発はますます複雑化しています。
また、開発チームも多様化が求められ、実際に多様化も進んでいます。
このような状況でもプロジェクトを成功に導くため、今回は開発標準に着目して解説していきます。

開発標準とは、いわば開発における「ルールブック」のようなもので、このルールブックがないことにより、PMあるいはチームメンバーそれぞれが異なる方法で開発を進めてしまい、混乱や品質の低下を招く原因となっているという側面があります。

開発標準とは？その定義と役割

開発標準は、開発プロセス、成果物、命名規則など、開発に関わるあらゆる側面を統一的に規定する一連のルールやガイドラインのことです。

開発標準が果たす役割を見ていくと、

品質の向上：一貫した品質の製品を開発し、顧客満足度を高める
効率化：重複作業の削減や、共通のフレームワークの利用による開発時間の短縮
コミュニケーションの円滑化：チームメンバー間の認識のズレをなくし、円滑な連携を促進する
リスクの軽減：標準化されたプロセスによって、エラーやバグの発生率を低減する
保守性の向上：システムの変更や拡張が容易になり、長期的な運用コストを削減する

このような例があり、開発標準の有無は、システム開発に大きな影響があることがわかります。

開発標準がもたらすメリット

次は開発標準がもたらすメリットについてです。実際に開発標準を導入することで、以下のようなメリットが得られます。順に見ていきましょう。

プロジェクトの効率化：重複作業の削減や、共通のフレームワークの利用による開発時間の短縮が可能です。
開発速度の向上：経験の浅いメンバーでも、標準に従って開発を進めることができるため、一定の開発速度を保つことが可能です。
チーム間のコミュニケーションの円滑化：チームメンバー間の認識のズレをなくし、円滑な連携を促進することが可能です。
品質と信頼性の向上：一貫した品質の製品を開発し、顧客満足度を高めることが可能です。
バグやエラーの減少：標準化されたプロセスによって、エラーやバグの発生率を低減する効果が期待できます。
一貫したコード品質の維持：コードの可読性や保守性が向上し、長期的なシステムの維持管理を容易にする効果が期待できます。

開発標準の具体例

開発標準の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

コーディング規約：変数名、関数名、インデントなど、コードの書き方を統一する
設計規約：システムの設計に関するルールを定める
テスト規約：テストケースの作成方法やテストの実施方法を定める
ドキュメント作成規約：設計書やマニュアルなどのドキュメント作成のルールを定める
レビュー規約：レビューに関するルールを定める
開発フロー：システム開発のプロセスを定める

開発標準の導入方法

開発標準は本当に多くのメリットをもたらします。
まだ開発標準を策定されていない企業様は、この機会に開発標準の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ・ご相談

さて、ここからは開発標準の導入方法を解説していきます。
開発標準を導入する際には、以下のステップを順に進めていくことがポイントとなります。
では順に見ていきましょう。

初期段階での準備
- 現状分析：プロセスとプロダクト（ドキュメント）の両視点から、現状の開発プロセスや課題を洗い出す
- 関係者への説明：開発標準の必要性とメリットをアクションプランにまとめ、関係者を集めて説明・周知する。
開発標準の策定
- 開発方針の策定：開発全体で目指す指標、および各開発工程で目指す指標を明確にする。
- 開発要領の策定：策定した開発方針から落とし込むように、具体的な記述で各要領を策定する。例えば、要件定義要領、設計要領、コーディング要領、テスト要領などを策定する。
- 開発手順の策定：策定した要領書の内容を実際に作業できるレベルにまで具現化する。手順策定の一例としては、具体的なフローチャートに起こすという方法がある。
ドキュメントテンプレートの整備:
- 各開発工程での成果物をテンプレート化する。
  例えばプロジェクト計画書、仕様書、設計書、テストケースなどのテンプレートを整備する。