前回の記事『業務品質とは|ソフトウェア開発における業務品質(プロセス品質)の重要性』で、ソフトウェア開発プロセスの可視化・標準化・定量化の重要性について解説しましたが、本記事では標準化に着目し、標準化したソフトウェア開発プロセスの活用方法について解説していきたいと思います。
どうぞ最後までお付き合いください。
ソフトウェア開発プロセス標準化のメリット・デメリット
ソフトウェア品質を向上させる方法として、ソフトウェア開発プロセスを標準化することは大変有効ではありますが、ソフトウェア開発は定型でないため、プロジェクト特性に対応する活用方法を理解しておかなければ、逆にデメリットによる品質低下や損失を被る可能性があります。
はじめに、ソフトウェア開発プロセス標準化におけるメリットとデメリットを確認します。
ソフトウェア開発プロセス標準化のメリット
- 常に同等の品質が期待できる
- 標準を改善することにより、より高品質なシステム開発が可能となる
- ソフトウェア開発ごとの比較ができる
- 用語定義により、関係者間のコミュニケーションロスが減少する
ソフトウェア開発プロセス標準化のデメリット
- 「標準に従えばよい」という考えが蔓延し、現場が考えなくなるリスクがある
- ムダな指標を計測し続けてしまうリスクがある
- ケースバイケースでの臨機応変な対応がなくなるリスクがある
- 標準がソフトウェア開発の規模に合わず、対応が過大(過小)となるリスクがある
ソフトウェア開発プロセス標準化を成功させるために
前章でも触れましたが、ソフトウェア開発はプロジェクトであるため、同じ内容のものは1つとして存在しません。
そのため、無理やりに標準を当てはめてもうまくいかない場合がほとんどでしょう。
ではソフトウェア開発の標準化を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。
その解はテーラリングという考え方にあります。
テーラリングとは本来、洋服の仕立て直しという意味の言葉ですが、「組織・企業が業務の基本として定めた標準プロセスや開発標準などを手直しして、個別プロジェクトや顧客の要求に合わせて実用的な標準(手順・成果物・指標など)を作成・実行すること」をテーラリングと呼びます。
(引用:テーラリング(てーらりんぐ):情報システム用語事典)
標準には、どのプロジェクトでも守らなければいけないものもあれば、プロジェクトの状況に合わせて変えてもよいものもあり、それを取捨選択あるいは詳細化し標準を再定義することで、標準化を最大限に活かすことが可能となります。
状況により変えてもよいものとしては、情報共有の方法や課題管理や進捗管理の方法などが挙げられます。
テーラリング活用時の注意点
標準化したソフトウェア開発プロセスに対してテーラリングを活用する場合、前もって組織あるいは企業として「テーラリング指針」という統一基準を設けておくことが重要です。
また実際にテーラリングを活用する際は、以下のことに注意して行うよう心掛けてください。
- 標準化することが目的とならないようにすること
- ソフトウェア開発の規模や状況、環境を考慮すること
- 事前に現場の理解を得ること
- 現場にかかる負荷が増えないようにすること
標準のテーラリングを成功させるために
最後に、ソフトウェア開発プロセス標準をテーラリングする際のヒントとなる考え方をご紹介します。
それは、ドラッカー氏が『マネジメント 基本と原則』に記された7つの管理手段の要件で、標準をテーラリング指針に照らし実際にテーラリングする場面において大いに活用できる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
管理手段の要件
1.管理手段は、効率的でなければならない
2.管理手段は、意味あるものでなければならない
3.管理手段は、測定の対象に適していなければならない
4.管理手段の精度は、測定の対象に適していなければならない
5.管理手段は、時間間隔が測定の対象に適していなければならない
6.管理手段は、単純でなければならない
7.管理手段は行動に焦点をあわさなければならない
(引用:ドラッカーに学ぶ『管理』とは?)
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